サーモウッドには耐久性、寸法安定性以外にも多くの長所があります。

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サーモウッド販売サイトは誤った商品説明が散見されますのでご注意を!

サーモウッドは加熱処理木材の総称として呼称されています

サーモウッドの種類と特長は加熱処理温度により異なります

Thermo-SとThermo-Dについて

サーモウッドには、用途に合わせた2種類の加熱処理温度商品があります。
Thermo-D:加熱処理温度212℃のThermo-Dは寸法安定性と耐久性の両方を目的とした商品です。
Thermo-S:加熱処理温度190℃のThermo-Sは寸法安定を目的とした商品で耐久性は高くありません。Thermo-Sの寸法安定性はThermo-Dより低く、外構木材としての耐久性はありません。
Thermo-SとThermo-Dは色の濃さなどで判別することはできません。Thermo-Sや加熱処理温度200℃(規格外)のサーモウッドを外構木材に使用した結果、「カビが発生した」「腐った」などを記載したサイトが散見されます。
外構木材として使用できないサーモウッドThermo-Sの存在意義はなく、Thermo-Dとして販売そして使用されることを危惧いたします。


本サイトはThermo-Dに関する記載であり、Thermo-Sに関する説明はいたしません。

下記に記載するサーモウッドの特長は、Thermo-D(212℃加熱処理)商品の特長や属性となります。

01:エコロジーな加熱処理木材とサーモウッドの樹種

原材料である木材もエコロジー

説明:サーモウッドの開発目的そのものが、「エコロジーな処理による木材の耐久性向上」です。そして、原材料にはフィンランドの植林木が使用されています。フィンランドをはじめ欧州の植林木は持続更新可能な森林であり、木材成長率は伐採量を上まわっていますので完璧なエコロジー商品です。
サーモウッドの樹種:フィンランドで植林されている樹種がサーモウッドの樹種となります。具体的な樹種名は、パイン(製材後の通称はレッドウッド)、スプルース(製材後の通称はホワイトウッド)、バーチ(和名は白樺・真樺)、アスペンの4樹種です。
加熱処理木材の総称やサーモウッド加熱処理技術をサーモウッドと呼称されていますので、オークやメープルなどの北米産広葉樹もサーモウッドの樹種となります。

02:サーモウッドの耐久性は欧州規格で説明されます

サーモウッドの耐久性は上から2番目のclass2(EN350-2)

説明:

  • 欧州では薬剤処理された木材を含め木材製品の耐久性を5段階のclassで説明します。class2の木材は建築物の外装木材やデッキ材やフェンスなどの外構用木材として使用します。
  • 土に接する使用環境では耐久性区分class1の木材(または薬剤処理木材)を使用します。
  • 加熱処理温度212℃(Thermo-D)のサーモウッドは耐久性class2の木材です。
  • 220℃に加熱処理しますとclass1の耐久性となりますが、耐久性class1のサーモウッドは基本的には生産されていません。

03:抜群な寸法安定性:割れ・反り・ねじれを大幅に軽減

抜群な寸法安定性はサーモウッドの最大の特長かもしれません

説明:2002年に生産されたサーモウッド(当時の加熱温度は210℃)を屋外放置していますが、曲がり・反り・ねじれそして歩減り(乾燥して小さくなる現象)は殆ど発生していません。サーモウッドの寸法安定性は特筆すべき特長です
寸法安定性に関しては耐久性のようなclass分けはありませんが、class分けがあれば最上位のclass1に分類されると思われます。寸法安定性の良い樹種の代表としてチークが挙げられるが、サーモウッドの寸法安定性はチーク同等以上です。
寸法安定性の良い木材とは:木材は大気中の湿度の変動により吸湿または排湿をし、木材は膨張または収縮します。この時の膨張収縮率が低い木材を寸法安定性が良いと木材と言います。また、木材の膨張収縮率は半径方向(柾目)と接線方向(板目)では異なり接線方向の膨張収縮率は半径方向の約2倍となります。
木材の半径方向(柾目)と接線方向(板目)の膨張収縮率が異なることは木材の欠点ですが、それ故、木材には使い方があります。

04:サーモウッドは木裏に反るの説明と図解

木材が木裏に反ると理想的な使用ができます

性能:サーモウッドは極僅かですが木裏側に反ります。
説明:一般的な木材製材品は「木表に反る」ため、デッキ施工では木裏を上側にした木裏施工をします。他方、和室造作材は綺麗な木目である木表を見せる木表使用をします。
サーモウッドは木裏に反るため、デッキ施工でも木目が綺麗な木表施工が可能である。
図解:

追加説明:片面塗装時の反り方
外装木材のように薄い板に片面塗装した時は木裏や木表に関わりなく塗装面側に反ります。このため、サーモウッド製品を含め外構木材を塗装する場合は片面ではなく全面塗装することをお勧めいたします。

05:カビは発生しない、またはカビは発生しにくい

サーモウッドの低い含水率はカビの生息環境ではない

事例:カビの生息条件である養分や水分(含水率)は極めて少なく、カビ発生の事例はない。
説明:カビの発生する要因
浴室のガラスやタイルは表面にカビの栄養分が付着するとカビが発生します。同様にサーモウッドの表面にカビの栄養分が付着すると気温と湿度によってはカビが発生する事があります。
今までにサーモウッドにカビが発生した事例はサーモウッドの表面に付着したカビの栄養分と、耐久性の低い加熱処理温度190℃(Thermo-S)を屋外使用した場合に限定されます。

06:シロアリ食害について

現在までシロアリ食害の事例はありません

事例1:8年間でシロアリ食害(シロアリの発生)の事例はない
事例2:中国地区の大手サーモウッド取り扱い企業(池上産業さん)からもシロアリ発生の事例は無いと聞いています。
説明:今までに屋外放置した木材でシロアリ食害が無かったのはチーク、青森ヒバそしてサーモウッドだけです。(全ての樹種に対し自然放置した木材のシロアリ食害を調べたわけではなく、地域も千葉市と限定的であるため不確実な情報である。)
シロアリは熱帯地区や熱帯雨林地区に多く生息するため同地域に生えている樹種(イペ、バツー他)はシロアリ食害に強い樹種となります。
重要な事は日本の気候でサーモウッドがシロアリ食害を起こすかを調べ周知する事となります。シロアリが食するセルロースが減少し含水率の低いサーモウッドはシロアリが好む木材ではないようです。少なくとも土に触れた状況ではベイ杉(WRC)よりシロアリ食害は少ないと思われます。ベイ杉は土に触れない環境ではシロアリ食害には強い樹種ですのでご安心下さい。
「シロアリ食害試験」がありますが、シロアリの餌は試験片(木材など)だけとし、時間を掛けシロアリの死滅率を測定しシロアリ食害を判定する試験となります。防蟻薬品の効果を調べる試験であれば有効な試験ですが、シロアリの生死をかけた状況でのサーモウッドのシロアリ食害試験には疑問をいだきます。

07:加工しやす

切削、切断、穴あけ等の加工は非常に容易で特別な工具は不要です

注意:切削、切断時に出るおが屑は軽く細かいため、マスクや保護めがねの着用を推奨します。

08:干割れしにくい

板目に軽微な干割れが発生します

説明:サーモウッドの含水率は4%から6%と低く、平衡含水率の年間変動幅も原材料木材の半分程度です。このため木材内部から放出する水分が少なく、干割れしにくい乾燥材です。
無塗装品の板目には幅0.5mm程度の干割れが発生することがありますが塗装することにより干割れの発生は大幅に減少する事ができます。

09:サーモウッドには許容応力度がありません

サーモウッドには許容応力度がなく、構造材としては使用できません

説明:構造材用木材にはその国の定める各種許容応力度がありますが、サーモウッドの許容応力度は日本だけではなくどの国でも設定されていません。
追加説明:サーモウッドの「曲げ強度」を記載しているサイトが散見されますが、「曲げ強度」は曲げ破壊試験を実施した結果得られる試験体固有の強度であり「曲げ許容応力度」ではありません。試験体を折らずに曲げ強度を想定する方法としてMSRがあります。MSRはヤング係数(非破壊検査)を測定し曲げ強度を想定する試験方法ですが、サーモウッドの小試験ではヤング係数と曲げ強度には相関関係はなくMSRによる曲げ強度の想定は不可能となります。
サーモウッドの曲げ強度を記載したカタログも散見しますが、統計的な曲げ強度ではなく許容応力度に繋がる強度でもありません。記載された曲げ強度は無視し、デッキ板に使用しても折れない十分な強度があるとの説明と解釈してください。
構造材木材としての需要があれば新種のサーモウッドが誕生するものと思われますが、現状では構造用サーモウッドが出現する噂はありません。サーモウッドの開発者であるVTTも構造用木材ではないことを明言し構造材使用を禁止しています。

10:デッキ材として十分なヤング係数

サーモウッドのヤング係数は安全を見て85,000kg/c㎡

説明:ヤング係数は「たわみ量」を想定するための計算に使用する定数です。床板のたわみ量は歩行感に影響し、たわみ量が多くても少なすぎても快適とはなりません。
ヤング係数をもとに、デッキ材サイズ(特に厚み)を決めたり、デッキ床板を受ける根太間隔(スパン)を決めることができます。このようにヤング係数を知ることは商品の開発や施工図面に影響する値となります。
サーモウッドのヤング率実測値はかなり高く、弊社サーモウッドJ-DECKのヤング係数は安全を考慮し85,000kg/c㎡(ほぼ実測最低値)としています。他社商品サーモウッドも同等のヤング係数と思われますが、試験体数が少ないことと、発表のしかたがことなるため、サーモウッドのヤング係数は各社で異なります。
サーモウッドのヤング係数85,000kg/cm2は米杉や日本の杉以上の値であり、デッキ床板であれば必要十分な値であると思慮いたします。

11:サーモウッド製デッキ施工にはステンレス製ビスを使用

サーモウッドの釘の保持力は低下しています

説明:サーモウッドの釘保持力は弱くデッキ施工ではスクリュウ釘ではなくステンレス製ビスを使用してください。鉄製メッキビスは錆びてデッキに黒じみをつけることがあります。
半ネジタイプのビス:ステンレス製ビスは半ネジタイプが作業性が良いのですが、デッキ板の厚みとネジ無し部分の長さがあっていないと半ネジの効果はありません。
床板のビス留めはなるべくビス1本留め:寸法安定性の良いサーモウッドのデッキ床板のビス止めは、デッキ床板材幅の中央に1本のビス止めで十分止まります。これもサーモウッドの寸法安定性の長所となります。デッキ材床板をビス2本や両サイドをクリップ留めしますと木材の収縮により大きな干割れが発生しやすくなります。
また、ビスだらけのデッキを散見しますが、綺麗な仕上がりとするには目立たないビスを使用しビスの使用本数を減らすべきです。

12:無塗装品の日焼け(経年変化)

無塗装品は、初期には脱色し、その後灰色に変色します。無塗装品は、紫外線により年輪に凹凸が発生します。

説明:木材は基本的に1年に1本の年輪(春材と秋材)を生成しますが、年輪と年輪の間の柔らかい部分(春材)が紫外線により崩壊され凹み木目が浮き出る(秋材)ようになります。サーモウッドは紫外線による春材の崩壊速度が速いようです。この春材の崩壊は紫外線を防止する(耐光性)塗料で防ぐ事ができます。機械で人工的に年輪に凹凸を付ける加工を浮造り(うづくり)と言います。年輪の凹凸や日焼けによる変色(灰色)は各人の好みとなります。
説明:ささくれは発生しません。
針葉樹はささくれ(トゲ)が発生しません(または、発生しにくい)。デッキの手摺りにはサーモウッドを含む針葉樹をお勧めします。
推奨:耐久性の高いサーモウッドですが総合的に判断し塗装することをお勧めいたします。

13:サーモウッドは木表を見せる施工とします

サーモウッドは木表使用ができる商品です

説明:木材は木表に反ります。特に屋外で使用するデッキ材や外装木材は木表反りが顕著であるため「木裏を表面にした木裏使い」をします。木目が綺麗なのは木表ですので、屋内の造作材は「木表使い」するのが一般的です。
サーモウッドは木裏に反りますので、木表を見せる施工とします。
注意:サーモウッドの木裏使いの問題点
木材は(針葉樹は?)経年変化により木裏板目の年輪が剥がれることがあります。特にサーモウッドはこの傾向があるようです。
木表使用が可能なサーモウッドは木表使用を推奨いたします。サーモウッドによる新商品の開発では木表使用となる加工をメーカーに指示してください。